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続短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第9章 日だまりが止めた時間 巴日和


「こんにちは」


日和が声をかけられ、彼女は驚いたように振り返った。


「………さっき会ったと思うけど、巴日和くん。私の大切な友人。」

「………」


果たしての目は、日和を人として見ているのだろうか。感情のない目は何も語らない。


「………」


彼女は、首を傾けた。ハテナマークを浮かべているようだ。


「え…っと、僕、巴日和」

「……」


華奢な女の子。偽りの碧眼、金髪。端正な顔。

日和はどぎまぎしながら挨拶をした。こんな彼を見たらEdenの二年生は呼吸を忘れるかもしれない。

ゆっくり、優しく再び繰り返した。


「ひ、よ、り」


また無反応。

日和は彼女がなぜ口をきかないのか、何となくわかった。

の手をとりそこに文字を書いた。


『ひ』

『よ』

『り』


それを感じ取ったのか、彼女はでたらめに手を伸ばした。


日和の手をとって、ペタペタとさわる。手のひらに触れたとき、確かに文字を書いた。


『ひ』

『よ』

『り』


それが終わると、日和はの頭を撫でた。


「凪沙くんと一緒なんだね、この子」


猫みたいにもっと撫でてと彼女はすり寄ってくる。日和は優しく撫で続けた。


「………」


凪沙は答えない。


「僕に黙ってなくて良かったのに。この子、君のいとこじゃないんでしょう。髪も地毛だし、コンタクトなんて入ってない。見たらわかる。」

「………ごめん………も私も、同じ父に育てられたんだ。途中で父がどこかに連れていってしまったから見つけられなかったけど。………ようやく、見つけたんだよ。」

「それで……ここに隔離してるってわけ?悪い日和!」


日和は凪沙と出会った時のことを思い出した。口も聞けない、文字もかけない、あの凪沙を。











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