第8章 一途なワガママ 青葉つむぎ
わからない。わからないわからない。
私には何もわからない。
「何で、皆は笑うの?泣くの?怒るの?」
「………理由なんかないヨ…そうしたいからサ」
「全然わからな「いつまでも逃げないでヨッ!!!」」
夏目くんは怒っていた。それでも、悲しい顔は変わらない。
「感情をなくせなんて誰が言ったノ……!?少なくとも…ッ!!!」
肩に触れる手の力が強くなる。
「センパイはそんなこと言わなかったじゃないカッ!!!」
____
____この本、面白いですよ
____桜が綺麗なんです、外を歩きましょう
____女の子がいつまでも徘徊しちゃだめですよ
____一緒に謝ってあげますから、帰りましょう?
____
____無理に笑ったり、怒ったり、泣かなくて良いですよ
____でも
____もう一回
____俺はの笑顔が見たいなあ
走馬灯のように、今まで聞き流していたつむぎの言葉が流れていった。
「……悲しいヨ…ボクは……小さい頃ハ、無口だったけどまだ笑ってタ、泣いてタ、怒ってタ………」
夏目ちゃんが苦しそうに言う。
「……………もっと自由で良いんだ、……」
ごめん。
ごめんね、夏目ちゃん。
それでも私………。
「“空っぽ”でごめんなさい」
長年、何も考えなかった私にはもう理解できない。