第7章 だから恐怖を嫌った 乱凪沙
『お前なんかいなければ良かったのに』
夢は、また同じ言葉をつれてくる。
『そうね。』
私は全く同じ表情で言葉を繰り返していた。
でも凪沙さんに出会ってから変わった。
『ごめんなさい』
私はまた殴られる。
固い石で殴られる。
『黙って殴られるだけで、ごめんなさい』
そして目が覚める。
凪沙さんがいつものようにどうしたのかと聞いてきた。私は距離をとって何でもないと言った。
彼は悲しそうに眉尻を下げた。
「凪沙さん」
私は無感情に尋ねた。
「もう私のこと、嫌になった?」
肯定してほしかった。
それでも彼は、首を横に振る。
「………ごめん」
近づくと、私が嫌がるのを知っている彼は遠くから言った。
「………嫌いになれそうにない」
私はキョトンとしてから、笑った。ケラケラと声をあげて笑った。
「やっぱり、変だよ凪沙さん。」
同情でもするみたいに彼を見た。
「こんなの、絶対、おかしいよ」
彼は悲しそうにそうだねと言った。
私はただ、そうだよと返した。