第5章 好きでしょ? 葵ひなた
私はムッとして言い返した。
「いい加減にして。わけのわからないことばかり言わないで。」
「………っもうやめてって」
「何が?ひなたが原因じゃん。私が悪いみたいに言うのはやめて………ッ…!?」
ひなたの力が強くなる。さすがに痛くて、短い悲鳴をあげた。
「こんなんで痛いんでしょ。女の子だもんね。俺とは……違う。」
「…………何なの?ねぇ、怒るよ?」
「…………………………何で」
フッと手が軽くなった。ズルズルとひなたがアスファルトに崩れ落ちる。
「……何で…何で何で………どうして…………ッ……!?」
狂ったようにひなたは言葉を並べていく。
「…………………………俺も、なんだ…」
絞り出すように声が出る。
「……ごめん……ごめん、…」
態度が急変し、私は戸惑ってしまった。
それが悪かったのかもしれない。
いや、最初から悪いのは私だった。
「………………俺、が好きだ」