第4章 守りたいもの 氷鷹北斗
『姫へ
お前は、いつだって一人で頑張っていたな。
俺はお前の笑顔が好きだった。だから、笑ってくれることに安心して何もできなかった。
許してほしい。
お前は俺を忘れたのか。いや、まだ記憶にはあるのか。
なら、あの時は覚えているか?中学の修学旅行。
お前は彼氏がいて、ずっと嬉しそうに笑っていたな。
俺は見ていて微笑ましかったが、何だか苦しかった。
あの頃から、お前を意識し始めたんだ。
そうだな、素直に言おうか。
俺はお前が好きだ。恋をしていた。
なぁ、姫。
どうしてこんなことになったんだ?悲しいし、苦しすぎるぞ。
戻ってこい………というのを、お前は望まないのだろう。
お前にとって、“あの子”は誰よりも大切な存在なんだろう。
“あの子”は戸惑っているぞ。
俺もお前に会いたい。話がしたい。………言いたいことがたくさんある。
でも、お前が“あの子”に優しくしろと言うのなら。俺はそうする。大切にする。
今度こそ守りきる。
姫。
もう、会えないのか?
“あの子”を守りたい。でももう一度、お前に会いたい。
こんなことを望む俺を許してくれないか。
どうか、俺を。許してくれ。
すまない、姫。
北斗より』