第4章 守りたいもの 氷鷹北斗
新たな生活が始まった。
学院は相変わらず不穏な空気を秘めていた。
そんなとき、耳に入ったのは新たな転校生の話。革命の一歩を踏み出せる、そんな要因になりそうだ。
この学院は転校生がやってきても黒板の前に立たせて自己紹介をしたりしない。
だからか、その転校生は恐る恐ると言ったように教室に入ってきた。
「………王子…?」
北斗を見るやいなや、すぐに声をかけてきた。
「姫………………」
クラスがざわつく。
目の前にいるのは確かに。しかし、口調が変わっている。
日記と瓜二つの言葉遣い。
恐らく、彼女は日記のになろうとしているのだろう。本当のは、北斗のことを“王子くん”と呼ぶが………。
あの日記を読んだって、それはわかるはずのないことだ。
でもそれが。
“あの子”の出した答えなら。
「また……会えたな。」
北斗は否定をしない。守る。彼女の意思を、決断を。その存在を。
「うん。」
は笑った。
笑顔は変わらない。
北斗は、今度こそを守る。