第4章 守りたいもの 氷鷹北斗
「やはり乖離性障害か離人症の疑いがあります」
白衣を着た頭まで真っ白な意思が粛々と告げた。北斗の父親と北斗、そしてはその診断結果を聞いていた。
とはいえ、初めて聞くのは北斗だけで二人は前に聞いていたらしい。
北斗が初めて聞く病名だった。
「改めて説明しますと……」
医師の説明はこうだった。
今、は自分をと認識できていないらしい。としての記憶は全て残っているが、それを自分の記憶であるとは思っていない。
全て自分が見てきた、第三者としての記憶であると認識している状態である。
「しばらく入院して様子を見ましょう。一時的なものならすぐ退院できますよ。」
一方的に医師は話し続けていたがはか細い声であの、と医師に声をかけた。
「その、一時的なものなら、私はどうなるんでしょう」
「…………」
医師はしばらくの沈黙の後、今はわかりませんと答えた。
わかりきったことなのに、優しさからそう答えたのだ。