第5章 あなたのためなら
リンはそっと右目に手をおいた。
眼帯がつけられた瞳。
誰にも見せたことがないこの瞳。
“大きな力”とはどのくらいなのだろうか。
この眼帯を外してはだめなのだろうか。
もしかしたらこの“力”がローの役に…
ちくりと胸が傷んだ。
だめだ
なんでもすぐにローのことに結び付けてしまう。
思い出してはだめだと分かってるのに。
今までの日々は忘れなきゃって思ってるのに。
リンは砂浜に“ハートの海賊団”のマークを描いた。
ハート?
ずっと前から思っていた。
ハートと言えばどこかで縁があったような気がするのだ。
ハートが似合う人……
「あれ、リンか?まだ明日まで時間あるぞ?早いじゃねェか。」
砂浜のハートの海賊団のマークをじっと見つめていたリンの上から、ある声が聞こえた。