第1章 出会い
「えっと…私…その……あそこに家がある訳ではなくて…」
リンは黙っていた口を申し訳なさそうに開いた。
「連れられてきたんです、海軍に。」
「海軍?なんでおまえみてェな女が海軍に連れられる。海賊か?」
「海賊じゃないです。実は私…」
「なんだ。」
話すだけで目をくるくると泳がせ、深呼吸をしている彼女を見ると“かわいい”とか思ってしまう。
こんなの俺の柄にも合わねェ。きっと医者として探究心でも芽生えてるのだろうか。
「実は私…“プラプラの実”を食べた植物人間なんです。」
「プラプラの実?」
「はい。海軍は私を、この能力を求めてるんです。」
植物を操れる能力を海軍が手に入れたとして、アイツらになんか良いことがあるのか?
海軍のヤツらは“植物”…“花”なんてかわいい柄じゃねェと思うが…
「この能力を手に入れたら、海軍の死亡率は確実に減ります。例えばこんな感じに…」
リンは海軍で縛られていたことで付いたであろうと見られる脚の痣に手を掛けた。
“癒しの森…”
そう呟くと、彼女の脚にあった痣はたちまちどこかへ消えた。
「…!」
「これは薬草を使った癒しの力です。」
癒しの力があれば、戦闘中の海軍の傷も全て癒せるってことか…。