第5章 あなたのためなら
“おれはドフィと血を分けた兄弟。そりゃブチ切れられるだろうが…殺されやしねェよ。”
そうだ…コラさんとドフラミンゴは兄弟。
殺される訳がない。
ひと安心だ。
“じゃ……となり町で落ち合おう。”
必ずまた会える。俺の頭を撫でてくれたあの手に、また撫でてもらえる。
“おいロー。……愛してるぜ!!”
あの笑顔にまた会える。
その顔でまた言ってくれるよな?
“愛してるぜ”と。
ピンク色のコートを羽織った男、ドフラミンゴがコラさんに銃を向け、その隣で俺と同じくらい歳の女がコラさんを縛る。
バン!!バン!!
銃声が響き渡ったその後――――。
“ロー……ごめん。”
「っ…!?」
思わず息が荒くなる。
夢…か。
疲れていたりするとコラさんのことを夢でよく見る。
それより、さっきの女は誰だったのだろうか。
いつもの夢には出てこなかった、ドフラミンゴの隣にいたあの女。
見た目はあの時の俺よりも年下だろう。
――ドフラミンゴの他にコラさんを倒した奴がいるというのか…。
“ロー……ごめん。”
最後に聞こえたあの声。
聞いたことがある声。
一体誰の―――。
ふと周りを見ると、おれはベッドの上に居ることに気が付いた。
横には、リンが床に座り込んで寝ていた。
自分が毒にやられたなんて、医者としてもあってはならないが、
見た様子だと、リンは大丈夫なようだ。
リンを守れたならそれでいい。