第4章 タイムリミット
私がきのこに触ろうとした時に止めてくれたロー。
“それは猛毒を持ったきのこだ。触れるだけで身体中に毒が回る。”
まさか、自分が身代わりになったのか?
“勝手に無理しやがって。”
無理したのはローじゃないの。
今ローには毒が回っているのだ。
とにかくこの毒をどうにかしなければ。
「リン〜?どーしたァ?」
シャチが呼びに来てしまった。
ローもきっと…こんな姿バレたくないだろう。
「シャチ!!今ちょっと…その…医学!そう、医学のことで盛り上がっちゃって!!もう少し話させて?後で行くから!!」
「分かった。みんなにも言っとくよ。」
……ありがとうシャチ。
みんなのためにも、私がローの毒を抜くんだ。
とは言っても、私はローみたいにオペを出来るわけではない。
使えるのは……植物の力。
私はグラスに入った水を一気に飲み干した。
問題は、きのこの毒。
毒はこの左手から広まっている。
熱もかなり高いだろう。
「ロー…ごめんね。」
私はローを、緑色の結界で包む。
解熱剤と解毒剤の力をこめて。
「癒しの森…」
緑色の光が室内全体に広がり、
ローの体に染み込んでいく。
眩しさに目を瞑り、次に目を開けると、
ローは穏やかな息をしていた。
(よかった…成功したみたいだわ。)
少しすれば目も覚めるだろう。
「ふぅ…」
今回は少し強い力を使ったから多く体力を消費した。
でも、いい。
ローのためだったら、この身がどうなろうと構わない。
そう、例え死んだとしても。
だから――
私はこの海賊団のために、ローのために、
この命を海軍に差し出したのだから。