第1章 出会い
「…はぁ…はぁ…死ぬかと思った…」
リンは貰った水をガブ飲みし、息を切らせる。
呼吸が落ち着き改めて周りを見渡すとそこには――
「きゃぁぁっ…!!」
大きなシロクマとこっちを睨む男!!!!
リンは、なんで睨んでるんだろう…もしかして殺されるのかな、と不安になって顔を青ざめた。
「…あの…出来れば殺さないで頂けるとありがたいんですけど…」
恐る恐る声を掛けると、男の人が不機嫌そうな顔をさらに不機嫌そうにした。
「殺しはしねェが、敵だった場合、それなりの対応をするだけだ。」
「怖そうな熊ですみません…」
目付きも対応も怖いこの男の人は誰なのか。
そして男の人と真逆と言っていいほどの打たれ弱いくまはなんなのか。
「え…じゃあなんでここに私が…??」
海軍から逃げ出して、そこからどうしたのだろう。
正直、リンの記憶はそこまでしか覚えていなかった。
「そんなのこっちが聞きてェよ。なんでおめェは道端で倒れる。」
道端で…
「そうそう。目の前でバタッと倒れたんだ。」
バタッと!!??
そこまで言われてようやく何があったか検討がついた。
海軍からの無理矢理の脱出。
「こんなんになるまで水が足りてなかったのか…私」
植物を操るリンは、水が動力となる。
普通の人よりもかなりの量の水を必要とするのだ。