第5章 あなたのためなら
「ばかなんじゃねェか、あいつ…ずっとおれらの味方とか言うなら出てくなよ…。」
「大好きだったって…それならなんで出ていくんだよ…!!ずっと仲間でいればいいじゃねェか。意味分かんねェよ…。」
『なんで出ていったのか』という疑問は、
ベポの話によって寂しさにかわった。
悲しみにもかわった。
怒りにもかわった。
ローは、太陽に照らされる海賊旗をじっと見つめた。
“幸せは、そんなに長く続かないってだけ。”
そんなことは嫌という程分かっている。
今まで、自分が散々体験してきたことだから。
だからこそ、リンにはそんなことを言って欲しくなかった。
自分が、リンの幸せを続けさせてあげたかった。
いつしか、そう思うようになっていた。
ローは、がたん、とわざと大きな音を立てて立ち上がる。
「キャプテン…?どうするんスか…」
“何があっても、どこで何をしていても、あなたたちの味方なんだって。それは約束する。”
自ら出ていきたくてこんなことを言い残した?
そんなわけはない。
嫌われているはずがない、
ただそう信じたいだけなのかもしれない。
「どうするも何も、船長の許可なしで勝手に出ていくなんぞ、おれは許してねェ。」
そう言い終わる時には、
クルー達の想いはひとつだった。
『リンを取り返しに行くぞー!!!』