第1章 遅い体質
「おい、卯月」
昼休みに、お姉ちゃんにもらった中古の本を読み更けっていたところ
担任が困った顔で私を見下ろしていた
おい、とか言ったけど女の先生です……
呼ばれて顔をあげたとたんに顔にペシッ、と紙の束を押し付けられる
「ひぎゃっ……先生なんですか!」
「いい加減にしろ!お前………恥ずかしくないのかこの数字で!」
数字?
「………確かに、私が昨日読んでたのは二巻でこれは四巻ですが」
「バカ、BL本の巻数の話はしてないよ」
あ、今ごろだけど先生も公認なのね……
「じゃ、なんですかー
怒っていると化粧にヒビ入りますよ~」
「安心しろ、今日はヒビが入ったときのために薄めに………じゃねぇよ
このテスト」
まだ途中だったのに、と心惜しく本を閉じてひらひらと振られる紙を受け取って開いた