第4章 日常 N
「中也ぁ〜」
「あ"?」
「キス、もう一回」
は?何云ってんだ此奴。
「嫌?」
「手前、判ってんのか」
「中也とのキス、好き」
首に腕を回してきて、じっと見つめられる。
はぁっと溜息をつき、顎を掴みそっと唇を重ねる。
「ん…もっ、んんっ……ふぁ」
蕩けきっている表情が可愛くて、ニヤっと笑って
「エロい」
と云うと、
「…中也、ファーストキス?」
「なッ…!」
「アタリ?」
「〜〜〜っ」
顔を手で覆って隠そうとするが、逆に其れが事実だと云っているようなモノだ。
其処でハッと気付いた。
「下手だったって事か?」
「ん?」
「俺とのキスを下手だって思ったって事は手前もう既に他の奴とキスした事があるつー事か⁉︎相手は太宰か⁈」
「違うよ!」
ハッキリ言い切って、頰を染めながら、
「中也がキス下手とか私には判んないよ。だって、先刻中也としたキスが、ハジメテ。___ファーストキスだから」
「え」
「私も中也も顔いいでしょ?モテるんだろうなぁって思ったら気になって。ほら、包帯はよく女の子。否、女の人?口説いてるけど、中也はそう云うの無いから」
「あんなホイホイナンパしねぇよ。普通は」
「…」
「白?」
「…此れから色の仕事とか来るだろうなだって思ったら、慣れてるか如何か鎌かけたくなった」
「おい」
「見た目ほど異性慣れしてないよね。私も中也も」
「…だからと云ってファーストキスを其処ら辺にいる奴に簡単にあげるんじゃねぇ」
「あ」
一寸苦しそうな顔をするから、言葉が悪かったかと焦る。でも、白からの言葉は予想外で。
「ごめん、中也もファーストキスだったよね。簡単に奪ってごめん」
「は?あ、否…別に俺は良いが」
「が?」
「好きでもない奴に簡単にハジメテをあげるんじゃねぇ。莫迦」
そう云うとむすっとした表情で、でも何処か…
「でも何処の馬の骨かしれない奴に捧げるよりはマシでしょ?」
「其れは…一理ある…が…っ兎に角!手前はもっと相手を選べ!」
「じゃぁ包帯にらしろって事?」
「そう云う事じゃねぇ!」
手前が、白が自分を大切にしない事が、何故か俺を特別な存在としているような、其れら全てが俺を苛だだせる。