第17章 会いたい
白が消えて四年。白と過ごした時間の倍の時間が過ぎた。
カランカラン
「いらっしゃい」
「何時もの」
「はい」
常連の店。こじんまりとしたBarで、マスターが一人で回してる。
落ち着いた雰囲気で、酒が旨く、人もそれほど居なく、お気に入りだ。
カランカラン
「いらっしゃい」
「素敵なBarですね」
「有難うございます、注文は」
「ノンアルコールのモノで」
「はい」
珍しい。常連客でなく、新規の客が来るなんて。
そう思いつつ酒を嘗める。
その女は俺の隣に座ってきた。
酒の席で隣に女が座ってくるのはよくある事で、でもそんな気分じゃなくて。意思がない事を示す為にそっちは向かない。
「お久しぶりです、中宮さん」
“中宮さん”?
その偽名は白と居る時にしか使った事がない。
何で何処の誰だか知らねぇ女が知ってるんだよ。
「手前、名前は」
女の方は向かずに聞く。
「破由、です。お忘れですか?」
ひゅっと息を飲んだ。
隣を向くとその女は、顔は違えど何処となく白に似ていたから。
「…マスター、また来る」
この機会を逃せば、二度と会えない気がして。
気付けば俺と女の分の酒代を多めに置いて、女の腕を掴んでBarを出ていた。