第3章 日常
マフィア本部の廊下を歩いていく。
中也の斜め左後ろを歩いていくのが私のお気に入り。
相手の利き手にいるのは申し訳ないと思うから、包帯以外は左にいる。少し後ろを歩くのはまだ彼と同等では無いから、と云う私の中のケジメの様なモノ。と、彼の髪の色が好きで見たいと思うから。
「白」
「何時もの処でいいよ」
何時もの処。其処は学校に行く代わりにお願いした、個別の仮眠室の事。
ただの仮眠室では無い。“包帯が入れない”と云うオプション付きの仮眠室だ。
私じゃないと入れない特別な仮眠室。
包帯と学校の両方は疲れるから、邪魔が無く休む安全な場所が欲しいと云ったのだ。
ただのセーフハウスだと、包帯にピッキングで入られる危険があるから。
「私はそんな事しないよう!」
とか云うけど信用ならない。
ボスッとベッドに倒れ込み、中也は紅茶を煎れてくれる。
その後ろ姿を見ながら、先刻思った事を云う。
「…中也。背、伸びたね。一寸だけど」
「一寸云うな」
「身体つきも男らしくなってきたね」
褒めたのに一寸何かを考える素ぶりをしたと思ったら、
「痩せたか?」
「如何して?」
質問に質問で返す。
「…き」
「き?」
「急に、胸が…」
「ああ、うん、ワンサイズ上がった」
「痩せたんだろ」
笑いで誤魔化そうとしたのがバレてる。
「…五月蝿い」
プイッとそっぽを向くとふわっと持ち上げられた。
「中也!」
「矢ッ張り痩せたな」
クソっこの筋肉…身長そこまで差は無いのに…
「…降ろして」
ギロっと睨むと苦笑いしつつ降ろしてくれた。
「今日はアッサムだ」
「…有難う」
一口飲む。アッサムの甘みが疲れを解してくれる。