第10章 番外編 中也の誕生日~十六才~
「十六才おめでとう。一年無事に過ごしてくれて有難う。この一年が中也にとって素敵な一年になりますように」
嗚呼、全く。
誕生日なんて、生まれた日なんて。
嫌だった筈なのに。
白の言葉一つで、誕生日が何か素晴らしいモノのように思えてくる。
「要らないかもだけど…」
渡されたのはシルバーリングのネックレス。
シンプルながらも品がいい。
「…お揃い」
白の首にも同じネックレスが着いている。
「有難な。毎日着けるわ」
「錆びにくい、返り血とかも大丈夫な奴にしたの」
「俺らにピッタリだな」
「でしょぅ?」
十六才の誕生日。
真逆こんなにいい日になるなんて。
白の誕生日は如何やって祝ってやろうか。
二カ月も先の事を楽しく考え始めた俺だった。
「白」
「なぁに?」
笑顔を見せつつ引き寄せると、甘えるように擦り寄ってきた。
「有難な、祝ってくれて」
「どういたしまして」
残りの書類は後少し、急ぎではない。
自分の膝に座らせて向かい合う。
白の後頭部に手を伸ばし、引き寄せキスをする。
中途半端な俺達の関係。名前の付けようもない不確かな関係。
でも、丁度良い気がする。
ハッキリした名前は無くても俺達が一緒に居るのには名前なんて必要ないのだから。
「白」
「なぁに?中也」
「手前は何か欲しいモノあるか?」
一寸考える素振りをした後、恥ずかしげに
「中也と居られたらいいのかな…」
嗚呼、莫迦。
愛しさがこみ上げる。
「俺も手前と居られたらそれだけでいいな」
「本当?」
「嗚呼」
とびきりの笑顔を見せてくれる。
嫌いだった筈の誕生日。
手前が祝ってくれるなら、悪くない。
手前が居てくれるなら、いい。
手前が笑っていてくれたら、もっといい。
出来れば、手前を笑顔に出来るのは俺でありますように。
「Happy birthday. 中也」
「有難うな。白」
4.29 Chuya.N Happy birthday...