第10章 番外編 中也の誕生日~十六才~
明日は、誕生日。でも、誕生日は好きじゃない。
何故、こんな俺が生まれてきたのか、意味が判らない。
こんな自分、生まれてこなければ善かったのに。
「…」
「中原さん!」
「嗚呼、お早う」
「お早うございます!今日、明日の殲滅の任務が無くなりました。溜まっている事務仕事が終わったら帰ってよいそうです」
「は?」
「そう、紅葉幹部から連絡がありました」
嗚呼、誕生日だからだろうな。
姐さん、別に俺の誕生日なんて気にしなくていいですよ。
「…判った」
執務室に入って、
「あ」
殲滅任務が無くなった訳が誕生日でない事を悟った。
「あんの糞鯖〜」
日付が変わる位の時間がかかる書類の山があった。
終わるのか?此れ…
予想は中りそうだ。
ただ今23時48分。
「手前ら帰っていいぞ」
「え、でも」
「残りは急ぎじゃねえが、俺が終わらせないといけない書類ばかりだ。…また溜まる前にやっといた方がいいだろ。手伝ってくれて有難な」
「無理をなされないように…」
「おう、帰り道気を付けろよ」
「はい、お先に失礼します」
パタン
「さて…」
どうせこの書類の山をやらなければならないのなら、明日…誕生日が善かった。
余計な事を気にしなくていいから。
日付が変わる…
バタン!
「中也!」
いきなり入ってきたのは、
「白」
「おめでとう!」
「…」
「太宰は追い出したから、私だけだよ!」
「…」
「中也?」
「祝われるようなモンじゃねぇよ。俺の誕生日なんて」
「そんな事…!」
「何の執着もねぇんだよ」
そう俺が云うと、哀しそう顔をして隣にきた。
「手前が気にする事じゃねぇよ」
「…私が勝手にお祝いするだけならいい?」
そっと左手を包んでくる小さい手。
「まァ手前なら…」
つくづく俺は白に甘いな、と思う。