第3章 不純異性交遊?いやいや中身大人ですから
僕って奴は真面目でしっかりしてる反面、ほんのちょっとドジな一面がある。
さっき買ってきたラノベの購入特典を落として帰って来ちゃったんだ。
道路の石につまずいて転んじゃって、たぶんその時だと思うんだよね。予約して発売日当日に買うほど楽しみにしてたからホントショックでさ。
まぁそんなところも含めてチョロ松な訳で。
完璧すぎるのは良くないんだよ。
隙がないのは逆に短所になるって言うでしょ。
少しダメなところがある方が可愛げがあるし、兄弟も気負わず僕といられると思うんだ。
「チョロ松(兄さん)完璧すぎて敷居が高いよ!」なんて距離を置かれたらちょっと寂しいもん。
それはさすがに参っちゃうよ。なにせ生まれた時から6人ずっと一緒だったからね。
僕が6つ子カースト最上位の真人間なのは明確だけど、あいつらと差が開き過ぎるのは悪い気がするんだ。
みんなの長所が僕のマトモさに埋もれたら申し訳が立たないからさ。
まぁ1番上のバカには僕の凄さを見せつけたらいい薬になりそうだけど!
「うーんないなぁ」
誰もいないと独り言ってついついしちゃうよね。
今何をしてるのかというと、傷心気味な僕は自分を慰める為にそのラノベの第1巻を探して押入れを漁っているところ。久々に一気読みしようと思ったんだけどなぁ。
あ、言わなくても分かるだろうけど自分を慰めるってそういう意味じゃないよ?それはさっき済ませたから。
「誰かに貸したっけ?アイドル追っかけ仲間?兄弟?うーーーん」
腕を押入れの最深部にまで侵入させると、指先が分厚い本に触れた。仲良く6冊並んだ卒アルだ。
「懐かしいなぁ。ええと、僕のは…」
左から3冊目っと。
手に取って埃を払う。
その拍子に1枚の写真がハラリと落ちた。