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息吹【気象系BL小説】

第1章 1年生



4月3日

毎年新しい気持ちになれるこの日だけど、今年はいつも以上にどきどきしていた



「おはよう!」


胸に小さな造花をつけ、期待と不安が入り混じった表情で俺を見つめる32人の子供たち

去年までもきっと制服は着ていただろうけど、パリッとした新品のブレザーに身を包むその姿はやっぱり初々しく見える


俺が初めて受け持つ、高校生になったばかりの生徒たち


「俺も担任1年目で緊張してるけど、皆と明るいクラスを作っていきたいと思ってます!」


よろしくね、と笑顔を見せればほっとしたように肩の力を下ろす皆を見て、ここからだ!と気合を入れ直した





そんな俺自身も初々しかった春から数ヶ月も経てば、生徒たちはすぐに学校に馴染んだ


「あ、相葉先生 おはよー」


ふと名前を呼ばれて振り返ると、そこには俺のクラスの生徒、吉岡美帆(よしおか みほ)と桜木明(さくらぎ あかり)がいた

2人はクラスの中では不真面目な方ではあるが、女子はもちろん男子ともよく話し、クラス全体をまとめてくれている


これで成績さえ良ければ…といつも思ってしまうことは、本人たちには内緒だ


「2人とも夏休みなのにどうしたの?」

「期末悪かったから補習でーす」

「高校生の夏は遊べるもんだと思ってたのに…」


ぶーぶー文句を言いながらも休まずに来ているので、2人とも根は真面目なんだと思う
ただ少し最初の方でつまずいた事で、一学期は授業に追いつけなかったようだ

それでも彼女たちはちゃんとした理由が無い限り遅刻や欠席はしない
…まぁ少しだけ授業中に寝てしまうくらいだ


「夏休みしっかり勉強しとけば二学期楽になるよ?
だから休んだりしないようにね!」


なんて先生らしいことを言えば、はーいと案外素直な返事をして教室へと向かって行った
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