第8章 約束は必ず守れ
「あら、片付いたみたいね」
「お前どこ行ってたんだよ」
「ちょっと野暮用」
私は手に持っていた3本のタンポポをおじさんに渡してから背を向けてライブ会場の出口に向かった。
「お、おい」
「百万本のバラはアンタが自分で用意しな…私に用意できんのはそれだけだから。後は頑張んな、『親父さん』」
「アイツ……」
後はおじさん次第。私にできるだけのことはやったし…タンポポだって捨てたもんじゃないし……
「お前バラの代わりにタンポポをチョイスするなんてな」
「あら、バカにしないでよ…タンポポはね『真心の愛』って言う花言葉があるんだから」
「へぇ、そこまで考えて渡したってか。お前らしいな」
褒めてるの?それ褒めてんの?
まぁどっちでもいいんだけどさ…親子の間にどんな事情があろうと、仲良くしていてほしいじゃん?
銀がどう思ってんのかは知らないけどさ。