第2章 万事屋銀ちゃん
侍の国。私が住んでいるこの国がそう呼ばれていたのは今はもう昔の話。
今現在、攘夷戦争が終結し天人達が続々と入ってくるようになったこの国で私は暮らしている。
その町は『かぶき町』。江戸の下町で天人達もあまり住んでいないこの町には私の義理の兄が営んでいる店『万事屋銀ちゃん』がある。
私はそこで従業員として働く事と家事をする事を条件に居候させてもらってる。
ちなみに、常に大赤字で家計が火の鳥であるため給料なしという類い稀なブラック企業だと私は思ってる。
「転職先と転居先…探さないとかな…」
「ちょいちょいちょい、本人近くにいない事良いことに何言っちゃってんの」
「……チッ」
出ました、コイツです。私の兄。
銀髪天然パーマと死んだ目が特徴的なこの男、坂田銀時は私の兄で万事屋銀ちゃんのオーナー。つまり給料を出さないバカはコイツです。
この際だから言ってしまうと兄が給料を出してくれないおかげで私は店の下にあるスナックで夜だけバイトして家賃を2割減額してもらい働いている。そうでもしなきゃ家賃も払えないし餓死する。
「…また仕事も拾ってこないでほっつき歩いてるわけね」
「人聞きの悪い言い方するなよな。兄ちゃんだって仕事探したんだぞ、これでも」
「はいはい、そうですか」
「…可愛げのねー奴……」
あんたがもう少しまともだったら私かだったもう少し可愛げあったし、働け天パ。
一瞬だけど下げていた買い物用バッグで殴ろうかと思った。
でも一応兄だからそこんところは勘弁してやる。
「あ、そうだ。優香後でジャンプの最新刊買ってきてくんね?」
その言葉を聞き終わった直後、私は腐れ天パの鼻っ面に買い物バッグを叩き込んだ。