第2章 万事屋銀ちゃん
「ちょっ…姉上!なんでそこまで……もう良いじゃないか、ねぇ姉上!!」
「新ちゃん、あなたの言う通りよ。こんな道場守ったって良いことなんて何もない、苦しいだけ……でもね私…捨てるのも苦しいの」
そりゃそうだ。この道場、親が残して逝った大切な場所だろうから。2人の様子を見ていれば部外者の私にだって分かる。
それをあの下衆マッシュルームは…マジで幻滅。
それから妙さん「どうせ苦しむなら道場を守るために苦しみたい」と言い残してマッシュルームの車に乗って行ってしまった。
あのマッシュルーム、最後の最後まで私のこと名残惜しげに見てたけどマジなんなのアイツ…ほんと最低。
まぁ、新八君のバイトクビになる原因作った銀も最低だと思う。腹が立つので軽く銀の肩を叩いた。
「いてっ…んだよ」
「別に、八つ当たりとかじゃないから勘違いしないで」
「どーいうツンデレ?!」
銀のツッコミを背中で聞き流して…というか無視して私は道場を出た。
このまま黙っているつもりはない。妙さんが良からぬ仕事をあの腐れマッシュルームにさせられるのをジッと見て見ぬ振りをするのも目覚めが悪い。
お節介かもしれないけど兄貴がやらかした不始末の詫びとしてせめて目を瞑ってほしい。まぁ、そんな考えの私はまだまだ甘いんだろうけど。