第1章 思い出
実家を出てからは皆さんに逢う事も少なくなったけど、子供…あなた達が産まれる度にお祝いを頂いた。
銀おじちゃんは駆け付けてくれて、「ありがとう」って何度でも言われた。
命を繋いでくれて、続けていってくれて、この国を、星を守ったかいがあったって思わせてくれてありがとうって、本当に嬉しそうに何度も言われたわ。
ここ数十年はどなたとも連絡を取っていないから、今どうされているのか分からないけど、もしもう亡くなった方がいるなら、きっと天国で待っていて下さると思うわ。だって、この星を守ったヒーロー達だもの。
でも、神様は時々いじわるだから、ひょっとしたら地獄で鬼とやり合っているかもしれない。そしたら私、引っ張り上げないとね。約束したんだもの。責任重大だわ。
長くなったけど、これで話はおしまい。
ありがとう、聞いてくれて。
ねぇ、どうかこの話を忘れないで、伝えていってほしいの。
この国、この星の為に命懸けで戦った人達の事を。
傷だらけの手で、大切なものを守ろうとした人達の事を。
その手からこぼれ落ちてしまった者の事を、ずっと想い続けた人達の事を。
私ね、本当に強くて優しい人達に逢ったの。