第1章 プロローグ
ドキドキと胸を高鳴らす私の前、その合図でゆっくとりと扉が開かれていく。
おおっついにこの時がーー
「わ、可愛いーご主人様だ☆」
え?
「ふわぁ、眠。」
「はぁ、あんたらちゃんと挨拶しなよね。あ、宜しくお願いします。」
「宜しく」
「宜しくお願いします。」
「っス」
私の前に現れたのは、背の高い…人間?
待って、犬を国から付与されるはすなんだが…?
王子「どうかな、個性的だけど身体能力が抜群な子、頭脳が優秀な子、器用な子、などなど、一部に特化された逸材を集めて来たよ」
なんて言ってニカッと笑うサワディー王子だが、
こんなの受け取れるはずがない。
だって目の前にいるのは犬じゃない、ただの生身の人間なのだから。
『こ、困ります! こんな人たち、私の家には受け取れるませんよ!』
「待ちな、セレナ。随分とイケメン揃いじゃねーか」
『ぱ、パパっ!?』
私の頭に大きな手のひらを乗せては、後ろからやって来たパパがスーツに身を包んでは王子を見る。その手にはグラスに閉じ込められてもしゅわしゅわと音を鳴らすスパークリングワインが握られていた。