• テキストサイズ

祝福されないドロップス【尾形百之助】【BL】

第24章 願い<完>




遠ざかって見えていた現実がわずかばかりの光が差し込む。


【慶次】
・・・・なん、だって・・・・?


──俺たちを祝福?


【弥彦】
俺も賛成だったんですよ。すずさんには悪いですけど、お二人ともすごいお似合いですし・・・・けど、あんなことが起っちゃって。

【赤松母】
あのまま忘れておけばよかったのに・・・・。

【赤松父】
・・・・すまない、慶次。私も思うところがどうしてもあって・・・・、妻の脅しに屈してしまった。本当にすまない。


話を聞くにお袋は、俺が忘れたことを言いことに「男色なんて店の恥」「忘れないとこの私が死ぬ」と言い出し、本気で喉を掻っ切ろうとしていたらしく全員お袋の言いなりになっていたという。


【慶次】
だったら尚更、俺たちが家に居ちゃマズいだろ。勘当でも何でもしてくれた方が楽だ。アイツさえ居てくれれば他はどうだっていい。


螺鈿に未練はない。店の恥だというならもう二度と触れなくたっていい。こんな家にいる方が俺にとっては苦痛の何者でもなくなってしまったからだ。


【赤松父】
それはできん。お前は店にとっての宝であり、何より・・・・この私の息子だ。男が好きで恥になどならん。妻が何を言うと、私はもうあの子の苦しんだ面を見たくない。──・・・・早く行ってあげなさい。まだそう遠くへ入ってないはずだ。

【慶次】
親父・・・・。


親父は俺の顔をみて、力強く頷く。


【慶次】
・・・・信用して、いいのか・・・・?

【赤松父】
ああ。だがもう二度と忘れるなよ。一番傷つけたのはお前自身なんだからな。

【慶次】
っ、・・・・・・・・それは・・・・分かってる。


親父に背中を押され、1歩前に踏み出す。
帰って来たら、思いっ切り抱きしめてやる・・・・って約束してたんだ。




/ 112ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp