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覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】

第1章 声が聞こえる。



むしろ、

「優しかったよ…」

「え?」

「すごく優しい声で、すごく優しい手だった…
でもあんなに優しく俺に話しかける人を、俺は知らない…」


そう、知らないんだ

大学時代の友人や会社の同僚たちだったら記憶を無くした後に会っているけど、その中に彼はいない

もちろん雅紀では無いし、雅紀や翼くんの話の中にもそんな風に俺と親しそうな人はいなかった



だから何度も聞こえるその声を夢だと思っていた
夢だと、思い込もうとしていた





だって現実の記憶だったとしても、彼は俺の傍にいないのだから…
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