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覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】

第2章 カウンセリング



「櫻井さんっ」


パシッと手首を掴まれ思わず振り返ると、二宮先生は泣きそうな、でもどこか嬉しそうな表情をしていた


「二宮先生…?」

「櫻井さん、貴方を呼ぶ声のことを忘れないでください
彼は今でも貴方を呼んでいて、そして貴方には彼の声が聞こえている

いつか出逢えます、必ず…」


あまりにも真剣な声と表情に無言でうなずくことしか出来なかったが、二宮先生はふと力を抜いて手首を離した





帰りの車の中で二宮先生の言葉を反芻する


もしかしたら、二宮先生は何かを知っているのだろうか

絵を見せてきたこと、
俺の言葉に対する反応、
そして最後の言葉…

しかも声の主が男だと伝えなかったはずなのに“彼”と言っていた




でも何故か俺には不安が無かった

それはきっと俺自身が“声”を肯定出来たことや、二宮先生が出逢えると断言してくれたからだ

全面的に信じてしまっても良いのか分からなかったが、おそらく大丈夫だと思う





だってなんの根拠も無いけれど、いつか必ず彼に出逢えると俺も信じてるから
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