第15章 下剋上
さえりはしばらく固まっていた。
嬉しくて、恥ずかしくて。
でも嬉しくて。
「さえり、お前はそれでいいのか?」
秀吉が静かに問いかける。
「うん、光秀さんがいいの」
「そうか」
秀吉は優しく微笑んだ。
「光秀、さえりを泣かすなよ」
「泣かさないというのは約束できないが、大事にする」
秀吉はハァーッとため息をついた。
「苦労する男をわざわざ選ばなくても」
「苦労するのがいいんだろ、なあさえり?」
「もの好きですね」
「お似合いですよね、お二人とも」
「三成、俺の言った事聞いてた?」
「はい!家康様も祝福されてるんですよね!」
「もういい。お前とは話さない」
「まあまあ、素直になれ家康」
「大きなお世話です」
「さえり、何かあったらすぐ相談するように」
「頑張れよ、さえり」
「まあ、良かったんじゃないの」
全員が口々に二人を祝福する。
「みんな、ありがとう」
さえりはニッコリと微笑んだ。