第25章 不思議の国のモンダイジ!(アリス ノーマルEND)
放課後。
「的幡! いい加減、真面目に授業に出ろ! いつもいつも紅茶ばかり飲んで……だから『帽子屋』などと呼ばれるんだ!!」
下駄箱で靴を履き替えていると、的幡 遥都先輩が生徒指導の教師に捕まっていた。
「私はちゃんと授業に出たはずですが?」
激高する生徒指導とは裏腹に、遥都先輩は冷静な大人の対応をする。
あれでは、どちらが大人か分からない。
「またずっと紅茶を飲んでおいて、『真面目に授業に出た』と言えるか! 古典の先生が泣いていたぞ!!」
「配慮が足りず、申し訳ありません。ただ、私は日本茶が苦手でして……」
「そう言う問題じゃない!!」
「貴方が何を仰りたいのか、私には分かりかねます。『真面目に授業に出席』するよう言われたので、私もその通りにしたのですが」
「『真面目』に出席できていないから、こうして言っているんだ!」
話が一ミリも進行していないように思えるのは、私だけだろうか?
「残念です。私としましては、屋上で太陽を浴びながらのティータイムを断念し、教室の人工光(じんこうこう)で我慢しましたのに……」
「お前、真面目に授業を受ける気があるのか!?」
「もちろん、受けていましたよ。ノートもしっかり、黒服が取ってくれています」
遥都先輩が手を叩くと、突如、今まで全く姿の見えていなかった黒服の男が、彼の後ろから姿を現す。
「うわっ……!?」
悲鳴を上げる生徒指導に、遥都先輩は微笑んだ。