第6章 探偵たちの夜想曲Ⅰ
樫塚「はい、そうです。」
目暮「そしてこれが男の持ち物何だが……」
と言って見せてくれたのは、ライター、煙草、パンパンになった財布、スタンガン、携帯、ロッカーの鍵、そして大量の小銭だった。
小五郎「なんじゃこりゃ!?随分と大量の小銭だな…しかも財布にもお札がパンパンに詰まってる。」
目暮「やはり毛利くんも奇妙だと思うかね。……あぁそう言えば、遺体の足元に落ちていた2枚のタオルの片方の先が濡れていたようなんだが、何故だか分かるかね?」
樫塚「さ、さぁ…ずっと怖くて俯いたままだったので…」
目暮「それと、そのタオルの下にあった貴方のブーツの靴紐の先に結び目があって引っかかっていたんだが……」
樫塚「あれは子供の頃からの癖です…靴を丸洗いして干しとく時に、紐がそうなっていると吊るしやすいって兄が…」
目暮「そうですか……」
小五郎「目暮警部、もう今日はこの辺で終わりにしても良いんじゃないんすか?圭さんもお兄さんを亡くされて間もないし、目の前で男が自殺したんですから…」
目暮「うむ、毛利くんの言う通り今日はここまでにしよう。」
樫塚「ありがとうございます…では今日のところはこれで失礼します。」