第2章 蝕む病魔
季節は巡り、街の景色が白く染まる頃……
私は病室にいた。
裕太「、調子どう?」
「あ、裕太!会いたかったよー!」
裕太は時間ができると、私に逢いに来てくれた。
裕太「、あんまり興奮すると、体にさわるから………(汗)」
「これくらい大丈夫だよ」
裕太「大丈夫じゃないから、ここにいるんじゃん。大人しくしてなさい!」
「はーい」
私の時間があと僅かだという事を、まだ裕太には言っていない。
裕太「、明日から映画の撮影が始まるから、暫らく来れないかも………」
「仕事だから仕方ないよ」
裕太「そうなんだけど………」
「私なら大丈夫だから、頑張っていい映画作ってね」
裕太「…………撮影が一段落したらすぐに来るから、待っててくれる?」
「うん」
私は笑顔で裕太を見送った。
あと何回………私はあなたに笑顔を見せれるだろうか………
あと少し…………もう少し……………
せめて街がピンク色に染まるまでは…………
私は裕太に宛てて、手紙を書いた。
そしてそれを、枕の下に隠した。
直接自分で渡せなくても、ここなら誰かが見つけて裕太に渡してくれるだろう。