第2章 安土城下
「付き合ってくれてありがとう秀吉さん」
「椿が一人で城下に行くと迷子になるからな」
頼んでいた反物が届いたと聞き
秀吉と引き取りに来た椿
まっすぐに帰らずにせっかくなので
甘味やに寄ることにした
「ねえ秀吉さん
あそこにいるの光秀さんじゃないかな?」
「アイツ何を・・・」
物陰から大通りをじっと見つめている光秀
視線の先を追って大通りに目を凝らすと
キョロキョロとしながら歩く葉月がいた
間者かと思いその娘を見ていると
何処かで見たような気がして記憶をたどる
「たしか甘味やで見た・・・」
なぜここに?と思いながら
光秀に視線を戻したが
すでにそこに姿はなかった
「あれ?光秀さんいなくなっちゃた・・・」
「ああ・・・
そんなことより椿
甘味やにいくか」
「うん!!」
椿と楽しい一日を過ごし
光秀と葉月の事を頭の隅に追いやった
その後に意外な場所で
葉月と出会うことになるとは
この時の秀吉は思いもしなかった
「さて、せっかくの再開だ
楽しませてもらうぞ」
どの様にしてからかってやるかと
考えながら光秀は後殿へと帰っていった