第10章 永遠に共に
『ごちそうさまでした~』
兼続は食べ終わった葉月の御膳を片付け下がっていった
「葉月来い」
葉月は謙信のそばに行き
徳利を持ち上げお酌を始めた
『謙信さまは食べないんですか?』
「俺はこれで十分だ」
お猪口を傾けグッと飲み干した
謙信の前にあるのはお酒と梅干しのみ
お酒の肴としては最適だが・・・
『塩分の取りすぎはよくないですよ』
「葉月、お前も飲め」
継ぎ足したお猪口を謙信に差し出され
素直に受け取りくいっと飲んだ
『っ!謙信さまこのお酒度数高い!!』
「ああ、安土で飲んでいたのよりもな」
謙信は喉元を押さえ悶える葉月を見て
楽しそうに微笑むとまたお猪口を差し出した
「これを飲んでみろ」
恐る恐ると口をつける
仄かな甘味と果物の香り広がった
「美味しい・・・」
「ふっ、まだまだ子供舌だな葉月」
『そんなことありません!
安土では飲んでましたもん!!
あれもかなりキツかったけど・・・・・』
「そう言えば飲んでいたな
何故無理をして飲んでいた?」
『あの時は・・・謙信さまの事ぜんぜん知らなくて
その・・・ちょっとでも知りたくて・・・・・』
「そうか・・・で」
『で?』
意味が分からず、ん?と小首を傾げる
「俺のことは分かったのか」
『え~と、それは・・・』
しどろもどろに喋り目線を逸らした
「ならば今から知ればいい」