第10章 永遠に共に
『ん~~よく寝た~~』
部屋の中が夕焼けで薄暗くなるころようやく葉月は起き
ぐ~っと伸びをして褥から起き上がった
「そうか、それはなりよりだ」
『ひゃっ!』
背後からかけられた声に驚き
勢いよく振り向いた
『な、なんでここに謙信様が!?』
「葉月を捜して見つけたからだ
なぜ佐助の部屋にいる」
『そ、それは・・・・・』
「それは?」
『ええ~と・・・・あっ!
謙信様わたしを捜してたって
言ってましたけど何かご用でしたか?』
「・・・ああ、来い」
『はい』
謙信は立ち上がって襖を開け出ていった
葉月は急いで褥を片付け謙信の後を追いかけた
「謙信様、葉月様は見つかったようですね」
「ああ」
『あれ?謙信さま
他のみんなはどうしたんですか?』
謙信に続き広間に入ると
にっこりと微笑む兼続がいたが
いつもいるはずの信玄、幸村、佐助の姿がなかった
「あいつらなら暫くの間帰ってこん」
『ええ、なんで!!』
「知らん」
謙信は酒を傾け不機嫌そうに顔をしかめた
「葉月様はこちらへ」
兼続にすすめられ腰を下ろすと
目の前に御膳が運んでこられた
食事を前にしお腹から小さく音が鳴った
朝起きて佐助と試合をしその足で睡眠を貪っていたため
今日葉月にとって初めての食事なのだ
葉月は箸を持ち嬉々として食事を口に運ぶ
『ん~美味しい~しあわせ』
頬に手をあてニマニマ微笑みながら
次々に小鉢の中身を平らげていった