第9章 姉と弟
「葉月、信長はなんて言ったんだ?」
『え~と確か・・・・・
わたしとは血のつながりはないとか
血縁はどうあれわたしは織田家縁の姫だから
血の繋がった肉親の了承が得られないなら
許しを請うのは当然だろうって言ってた』
信玄に聞かれ顎に指をあて昨日の信長の言葉をしゃべりだした
「で、佐助はなんて答えたんだ?」
『ち・・・・・・・・っ!そういう事!!』
「今気づいたんだ、鋭いようで鈍いね」
『う、煩い!あの場で冷静でいられるわけないでしょ!!』
赤くなった顔でキッと佐助を睨みつけた
「佐助、貴様は葉月とはどういう関係だ」
「おれと葉月さんとの関係は・・・・・」
「関係は?」
「・・・・・企業秘密です」
『うわぁっ!ちょっと駄目ですよ謙信様!!
佐助はわたしの弟です!お と う と!!?』
しっかりと間をおいて答えた佐助に
無言で刀に手をかけた謙信を見て葉月は慌てて説明をした
「何だもう言ってしまうのか
もう少し隠しておけば面白いと思ったんだがな」
ニヤニヤと楽しそうに笑う信玄
そうですねと無表情で頷く佐助
一人話についていけない幸村
「お前ら姉弟だったのかよ!
全然似てねぇのな」
『わたしは母親似で佐助は父親似だから』
「葉月の母君も美しいんだろうね~」
「アンタちょっと黙ってろ!!」
「・・・・・貴様ら刀の錆にしてやるそこになおれ」
ゆらりと葉月から離れ刀に手をかけすらりと引き抜いた
「俺は遠慮しておこう」
「幸村あとはよろしく」
「はあ!!なんで俺が!!?」
サッと身を翻し部屋を出ていく信玄
ドロンといって素早く姿を隠した佐助
あとに残された幸村の絶叫が城中に響いた