第9章 姉と弟
寝苦しさを感じて葉月はもぞもぞと身体を動かした
閉じられていた瞳を持ち上げ数回瞬きをした
葉月の視界に入ってきたのは逞しい胸板
寝ぼけ眼でペタペタと触るっていると
頭上でふっと笑う声が聞こえゆっくりと顔を上げ
『・・・・・!!』
優しく見つめる瞳と目が合い固まった
「葉月よく眠れたか?」
頬にかかった髪を払いのけ愛おしそうに顔を覗き込んできた
『き・・・・・きゃゃゃーーーーっ!!?』
帰城した葉月の第一声は悲鳴となって城に響き渡った
『佐助、信長様に言ってた事説明しなさい!!』
朝餉の席で佐助を目の前に正座させ腕を組んで瞳をつり上げた
「早朝も思ったが今日は随分と賑やかな朝だな」
「俺は奇襲かと思ったわ」
「葉月の奇襲なら俺は喜んで受けるぞ」
『そこ煩い!?』
ビシッと指をさし眉をつり上げた
「でもな~その恰好じゃ迫力ねえぞ?」
佐助の前に鎮座している葉月
その腰を抱き寄せ無言で酒を飲む謙信
『は、離れてくれないんだもん
しょうがないでしょ!!』
「なんだ幸、羨ましいのか?」
「はあっ!」
「やらんぞ幸村」
「いらねえよ!!」
『幸村煩いっ!
佐助、昨日の説明さっさとしなさい!』
「簡単に言うと義理より本物ってこと」
『は?』
「つまり葉月さんに関しては
信長公の発言よりおれの発言の方が上ってこと」
『意味わかんないんだけど・・・』
佐助の言葉に理解できず腕を組んだまま首を傾げた