第7章 秘密と軍神
「兄ちゃん俺たちになんか用か?」
「女をこちらに渡してもらおう」
貴様らが触れていい女ではないさっさと離れろと
冷たいまなざしで男を睨みつける
「コイツは俺たちの獲物だ渡せねえな」
『お帰りが遅いですよ
お陰で変なのに絡まれたじゃないですか』
「俺は天女と一緒に居たかったんだ」
『責任とって下さい』
「ああ、謙信が責任もって片付ける」
信玄が葉月と軽口を叩きあい
チラリとこちらに視線を投げてよこした
それに応えて刀を構えた
『分かりました
では後ろの男を頼みますね』
「は・・・・がぁ!?」
葉月は踵で思いっきり足の甲を踏みつけ
捕まれた腕と反対の腕で男の鳩尾に肘を叩き込んだ
着物の裾が崩れるのも気にせずに
腕を離し腰を折って呻く男の横っ面を蹴り飛ばした
『やっぱりこの格好だと動きにくい』
無駄の無い流れるような動きであっという間に
大の男を蹴り飛ばす姿に目を奪われた
物怖じもせず凛とした女だとは思っていたが
ここまでとは思わなかった
乱れた裾をなおす葉月の後ろでもう一人が
我に返り葉月に刀を向ける
「貴様の相手は俺だ」
一気に距離を詰め男を斬り棄てた
『謙信さま信玄さま
お城に帰りましょう』
何事も無かったかの様ににっこり微笑む葉月から
謙信は視線を外せなかった