第7章 秘密と軍神
紅葉狩りから数日がたったある日の昼
仲良く広間を出ていく佐助と葉月を見た信玄が
"佐助と葉月は仲が良いな"呟いた
確かに最近前にもまして佐助と葉月の距離が
近づいたように思っていたのはどうやら俺だけではないらしい
「・・・・・」
チィッと小さく舌打ちが零れた
「やっぱり葉月が好きなんじゃないのか?」
ニヤニヤしながら信玄が声をかけてきた
「寝言は寝てから言え」
グイッと酒を煽り席を立った
「佐助付き合え」
「・・・はい」
帰って来た佐助を捕獲し有無を言わさす引きずっていく
鍛錬所に着くや否や腰に下げている刀を抜き斬りかかる
「ちょっ謙信様!
いくら何でも丸腰の佐助に斬りかからないで下さい!!」
「ありがとう幸村」
鍛錬所に居た幸村が慌てて佐助に刀を投げてよこした
「これで死ぬならそれまでの男だという事だ
俺の忍びなら隠し武器の一つや二つ持っているだろう?」
「はい。マキビシにクナイに煙幕に・・・・・」
「いつも不思議に思ってたんだが
なんでそんなに出てくんだ?」
街に出ていた佐助の服装は町民風で巾着などは所持していない
なのに次々に出してくる品物は
どこに隠し持っていたんだ?
と疑問に思うのも無理はない
「それは・・・・」
「それは?」
「・・・・・・企業秘密だよ幸村」
「聞いた俺がバカだったわ」
「自分のことよくわかってるね幸村」
「うっせえ!!」
ハハハと無表情な顔で笑う佐助
その間も謙信との鍛錬と言う名の斬り合いは続きていた
漸く終わったのは日も沈み夜になった頃だった
佐助と別れ汗を流し自室へと戻ろうと廊下進んでい時
"おやすみ!"と嬉しそうな声を出し
葉月が佐助の部屋から出てくる光景を目にしてしまった
こんな夜更けに女が男の部屋に出入りする
すなわち二人は恋仲である可能性が高い
以前佐助に二人の関係を聞いた時にははぐらかされて終わったが
葉月はそこいらにいるような女ではないのは知っている
もしも二人が恋仲でたとえ体の関係があろうが知ったことではない
それぐらいの事俺が上書きをし塗り替えればいいだけだ