第7章 秘密と軍神
「なぜこの俺が信長の城になど
行かねばならんのだ」
我が城へ引き渡す人質を
貰い受けに安土城に行かねばならないが
いくら休戦協定を結んだとはいえ
信長の城になど足を運ぶことは拒否だ
「ただいま帰りました」
一刻ほどすると佐助が先に帰って来た
そのすぐ後に幸村と信玄が帰って来た
「信長から人質を預かって来たぞ」
天女だぞと肩を掴んで俺の前に押し出したのは
依然店で見かけた女葉月だった
「お前は・・・・・・・信玄どういう事だ」
葉月の肩を掴んでいる信玄をギロリと睨み付けた
織田家縁の姫だと言う葉月
まさか信長が女を人質として送り込んでくるとは思わなかった
『えっ?佐助?』
黙って見ていると佐助の名前に反応した葉月が
楽しそうに佐助と話を始めた
どういう事だ何故佐助の事を知っている?
「おい!佐助!?」
無性にイライラして謙信は眉間に皺を刻み込む
それに気づいた幸村が佐助に声をかけた
「なに幸村?」
「ずいぶんと愉しそうだな佐助
その女と知り合いか」
謙信が声を発すると佐助が振り向く
そこには刀に手をした謙信がいた
それを目した瞬間佐助は無表情のままで
あとを幸村に託して素早く姿を消した
「逃げたな」
『逃げましたね』
「・・・越後に帰るぞ」
消えた佐助にはあとで刀で話をしてやろうと
一時捨て置きとりあえず越後に帰ることにした
先に外に出るもなかなか出てこない三人
やっと出てきたと思えば葉月がにっこり微笑んだ
それに視線を外しすたすたと歩き始めた
『わたしは嫌われたのでしょうか?』
「反対だな
あれは天女を気にしてる
謙信にしては珍しいな」
後ろから信玄の含み笑いが聞こえたが
あえて無視をし自分の馬のもとへと向かった