第6章 春日山城
『佐助
安土に行くなら椿にこの手紙渡してきて』
夕餉を食べて与えられた自室で椿に手紙を書いた
椿に何も言わずに出て来たので気になっていた
信長様から人質の件を聞かされているのかわからないので
そのあたりは伏せここので出来事や着物の仕立てを依頼する内容にした
「分かった
ところでおれとのこと謙信様たちには?」
『言ってないよ』
だってねぇ・・・・
織田家縁の姫だってことになってるのに
"佐助の姉です"なんて言えるわけないよね
『じゃあ頼んだからね』
よろしくと言って部屋を出ていった
「なあ佐助
お前らホントにどういう関係なんだ?」
「企業秘密だよ幸村」
佐助は口の前で人差し指を立てた
翌日佐助と幸村は安土へ旅立った
二人を見送ってから謙信と信玄の三人で紅葉狩りに向かう
「今日は俺が乗せてあげよう」
「黙れ信玄
貴様になど任せられるか」
睨みあう二人の間に挟まれる葉月
結局は信玄が引き下がり今回も
謙信の馬に乗せてもらうことになった
『よ、よろしくお願い致します』
馬に揺られること一刻
紅葉には少し早いかと思っていたが謙信に案内された場所は
綺麗に色づいた木々が辺り一面を埋め尽くしていた
『すっごく綺麗んだけど
これを一人で眺めてても
全然楽しくないんですけど!!』
ここに連れて来てくれた謙信は
信玄とどこかに行ってしまい
葉月は一人取り残された
なんでもこの近くで山賊が出ているらしく
山賊狩りに出掛けて行ってしまったのだ