第6章 春日山城
『うわ~凄い!!』
取り残された葉月は仕方なく一人で歩き始めた
少し進むとひらけた場所に出た
そこは他に比べて一際葉が綺麗色づいていた
『お土産に何枚か持って帰ろう』
色づきと形が綺麗な葉っぱを
しゃがんで吟味していると
馬の蹄の音が近づいてきた
『帰って来たのかな?』
数枚の落ち葉を手に立ち上がって振り向くのと同時に
木々の間から馬が走って来た
ただ馬に乗っていたのは謙信でも信玄でもなかった
「お頭!女がいる」
「お前なにやってんだ?」
『紅葉狩りです』
ジロジロと不躾に見てくる
男たちに嫌悪感を懐きながら答えた
「俺たちが送ってやるよ」
『いえ結構です』
どう見ても人相悪いし
それにお頭とか言ってるし
一緒に着いていきたい人はいないよ
くるっと向きをかえすたすたと歩き出したが
「まあ待てって」
『・・・・・なんですか?』
一人が前に回って後ろも退路をたたれた
にやにやと嫌な笑みを浮かべる男たち
「お前紅葉狩りしてんだろ?」
「俺たちがもっと良いところに連れてってやるよ」
これは誘拐しようとしてるよね
相手は馬に乗った二人で刀を所持
こっちは一人で手元にあるのは数枚の落ち葉
どう考えても圧倒的に不利だよね
まあ、手元に刀があってもこの格好じゃ
まともに戦えないか・・・
『連れが居るので近場でおねがいします』
仕方なく男たちについて行くことにした