第6章 春日山城
「佐助そこになおれ」
先に帰ってきていた佐助のもとに
いきなり押しかけてきた謙信は
スパーンと勢いよく襖を開いた開いた
手に抜き身の刀を不機嫌顔で構えた
佐助は素早く体制を整え身構える
「遅かったですね謙信様」
「貴様主人を置いて先に帰るとはどういうつもりだ」
「あの場に居ると大惨事になり兼ねないと判断しました」
会話の最中にもかかわらず謙信は刀で斬りかかっていく
それを難なく交わしていく佐助
会話だけ聞けば上司と部下の些細なやり取りの様だが
実際には二人ともが無表情で刀を振りまわしている
「話は変わりますが、お聞きになりましたか?」
「なんの話だ」
「聞いてないのならおれから話すことはありません
ところでねぇ・・・・いえ葉月さんは広間ですか?」
「・・・・お前はあの女と知り合いか」
「謙信様それは・・・・・」
「それは?」
「企業秘密です」
人差指を口に当てて無表情で答えた佐助に
謙信はピクリと眉を動かし無言で刀を振り下ろした
それから四半刻の間、佐助と謙信のじゃれあいは続いた