第5章 身代わりの姫君
部屋にまだ朝の光も届かぬ時間
葉月は起き出しほとんどない
身の回りの荷物を纏め出した
季節は秋に入り早朝のこの時間
少し肌寒くなってきた
『また見知らぬ土地に行かないといけないのか・・・』
自ら"行く"と言ったものの
いざ時が来れば気持ちが沈む
かと言えわたしが行かねば椿が行くことになる
椿はここに馴染んでいるようだし
それに秀吉さんと言い感じだし・・・ね
「おはようございます葉月様」
『おはよう』
物思いにふけっていると
いつの間にか朝の光が部屋を明るく照らしていた
部屋にやって来た女中に着替えを手伝ってもらい
去り際に"信長様が部屋で待つようにと"と
伝言を受け取り大人しく部屋で呼び出しを待っている
そして・・・・・
「葉月様、信長様がお呼びです」
その時がやって来た