第5章 身代わりの姫君
『付き合ってくれてありがとう』
「別に・・・
で、何処に行きたいの?」
反物屋の数件隣のお食事処だと伝えると
二人無言で黙々と歩き始めた
「俺は外で待ってるから」
『うん』
到着すると家康は店の壁に持たれて立った
葉月は足早に店内に入っていった
『おじさんこんにちは』
「いらっしゃいお嬢さん
今日は遅かったねお目当ての男性は
さっき帰ったところだよ」
『そうなんだ残ね~ん
彼を見たかったのもあるけど
今日はおじさんにお別れを言いに来たの』
「お別れ?」
『うん。わたしね明日、安土を離れることになったの
いつ帰ってこれるか分からないけど
帰ってきたらまたここに来るからその時はよろしくね!』
待ってるよと店主に言われ笑顔で葉月は店を後にした
『家康さんお待たせ』
「もういいの?」
『うん。付き合ってくれてありがとう!』
「それさっきも聞いた」
家康はふっと微かに口角をあげ微笑んだ
茜色に染まる城までの道を二人ゆっくりと歩いて行った
「よう早かったな」
『だたいま政宗!』
「おかえりなさいませ。家康様、葉月様」
『・・・と三成くん』
「・・・三成なんでいる」
「政宗様がお二人のお迎えに行くと仰っていたので
ご一緒させていただきました」
『ご一緒しなくていい』
「ホント来なくていい」
「秀吉に聞いてはいたが
葉月も家康並みに三成の事が嫌いなんだな」
「そんなことよりも
迎えに来てたってことは
なにか用があったからじゃないですか?」
お腹を抱えて笑う政宗に不機嫌顔で家康は問いかけた
「これから葉月の為の宴をするからな
家康は広間に葉月は部屋に帰って
さっさと着替えて来い」