第1章 甘味やの看板娘
「お疲れ幸村」
「おう佐助、回収してきた」
佐助とよばれたが忍者姿の男が
幸村に声をかけてきた
「信玄、貴様何をしていた」
「美しい華を愛でていたんだよ謙信」
「息をするように女を口説くな」
オッドアイの瞳でぎろりと睨みつけるが
飄々とする信玄に幸村はため息をついた
「謙信も今度一緒にいくか?」
「俺は酒しかいらん」
「あそこには酒は無いですね」
謙信を誘うには酒が必要
葉月の甘味やにはお酒はなく
拒否されることを知りながらも
誘う信玄は楽しそう笑った
「そんなことよりも信長が動く
先に回り込むぞ」
「男よりも姫君に会いたいものだな」
「戯れ言を、斬られたいのか信玄」
「どうどう謙信様」
刀の柄に手を当てていた謙信を佐助が宥め
四人は本能寺へと馬を走らせていった