第4章 友との再開
『椿~今日こそは
わたしと一緒に出掛けよう』
「うん。出掛けようか葉月ちゃん」
安土城に来て十日
椿と出掛けようとするたびに
邪魔が入りなかなか遊びに行くことが出来なかった
「よう、二人で出掛けるのか?」
『そうだよ!夕刻までには帰ってくるからね』
「気をつけて行ってこいよ」
政宗に見送られ城下町へと向かった
その頃天守閣では信長と光秀の
会談が秘密裏に行われていた
「お前がここに来ると言うことは
あやつに動きがあったか」
「はい。斥候より
安土に入ったと報告がありました」
「人質を送ると言って一月
そろそろ痺れを切らしたか
はたまたただの暇潰しか・・・警戒は怠る」
「御意」
「あの戦狂いに葉月を
扱えるのか見物だな」
「女嫌いで有名な軍神のところに
葉月を向かわそうとは」
城下町を見下ろし
愉しそうに笑いながら
手にした酒を飲み干した
「こちらは今朝入ったばかりの品でございます」
「わぁ凄い!これの色ちがいはありますか?」
『椿~反物はもういいでしょ』
「待って葉月ちゃん!あと少しだけ」
少しだけと言って入った反物屋
新商品を出されて夢中で品定めをする椿
暇をもて余した葉月は店を出た
『せっかく椿と二人で出掛けてきたのに』
店前で行き交う人をぼうっと
眺めて時間を潰していると
数件隣のお店から良い匂いが漂ってきた
匂いにつられてふらふらと入っていく
昼時を過ぎて店内には数人の客しか居なかった