第4章 友との再開
『椿~来たよ~』
安土城で暮らしだして数日後
椿の部屋に遊びにきた
「いらっしゃい葉月ちゃん」
「おはよう葉月」
『秀吉さん、なんでいるの?』
「椿が反物屋に行くって言うから迎えにきた」
『椿は方向音痴だから迷子にあるんだよね』
仕方ないと秀吉と椿を見送り
とぼとぼと廊下を歩く
「葉月暇ならちょっとこっち来い」
厨の前を通りすぎるときに政宗に声を掛けられた
中を除きこむと釜戸の前を陣取ってなにかを作っていた
『なに作ってるの?』
「出来てからのお楽しみだ」
『待ってる間にわたしもなにか作っていい?』
「構わねえけど葉月は料理できるのか?」
『わたし甘味やで働いてたんだよ』
「そういやそうだな
で、なに作るんだ?」
『ふふっナイショ
わたしも出来てからのお楽しみ』
ごそごそと食材を物色して
見つけたサツマイモを手に取った
甘く煮詰めて餡を作りお餅で包んで完成
『出来上がり~
わたしが作ったのはサツマイモ餡の大福だよ』
「へーサツマイモでも出来るんだな
味見していいか?」
『いいよ。はいあ~ん』
「ん、旨いな」
作りたてを口まで持っていくと
政宗は躊躇わず口を開けてかぶりついた
「なにしてるんですか政宗さん」
「おっ家康か
葉月が作ったんだ食ってみろ」
「俺は遠慮します
あんたさ、誰にでもそんなことしてんの?」
『そんなことって・・・?
あっ!もしかして家康さんも
食べさせてほしかったんだ
はい。あ~ん』
「は?」
「なんだそれならそうと早く言えよ家康」
にやにやしながら家康を見る政宗と
にこにこと笑って大福を家康に差し出す葉月
「甘いものは好きじゃない」
ふいっとそっぽを向き踵を返して厨を出ていった