第4章 友との再開
信長様が三成くんに呼んでくるよう言ってから
広間は異様な空気に包まれている
秀吉さんなんて睨むようにこっち見てるし
「葉月、貴様なかなかの腕前らしいな」
『え?』
秀吉の視線から逃げる様に下を向いていたが
すぐそばで信長の声が聞こえ顔を上げた
「これを持ってみろ」
差し出されたのは一本の刀
反射的に手を出すとずしりとした重みに加わり
腕に力をいれ受け取った
「どうだ?」
『どうと言われましても
えっと・・・重いです』
「ふっ重いか・・・秀吉これで分かったであろう」
「は!」
今ので何が分かったの?
わたしにはさっぱりわかりません
「お前、意味がわからないと顔に出ているぞ」
「こんだけ顔に出る奴が間者な訳ねえ」
『家康さんかんじゃってなに?』
「・・・・・秀吉さん
こんな間抜けなやつ
間者なんて出来ませんよ」
小首を傾げて家康に問いかけたが
葉月ではなく秀吉に喋りかけた
「疑って悪かったな葉月」
『えっ?いえ、気にしてません』
よくわからないが秀吉さんからの
鋭い視線がなくなりわたしはほっとした
これで安心して椿を待つことができる
持っていた刀を返すと信長様は上座に戻りお酒を手にした
「葉月、酌をしろ」
『はい』
呼ばれて隣に腰を下ろし
徳利からお酒を注ぐと
信長はグイッと一気に飲み干した